【観戦日記】高橋宏斗、本調子には遠かった ―― それでも低調ヤクルト打線に助けられ白星。杉浦の落ち着きが今日唯一の収穫だ

試合レポート

勝ちは勝ちだ。だが、手放しで喜べる内容ではなかった。高橋宏斗はどこか噛み合っていなかったし、池山監督の「投手にもバントなし」には首を傾けざるをえない場面があった。川越の離脱も重く響く。それでも杉浦が見せた8回の投球は、この試合を観た価値を確かなものにしてくれた。

■ 高橋宏斗 ―― いまいちの内容、それを覆い隠したヤクルトの低調

今日の高橋宏斗は、明らかに本来の宏斗ではなかった。球の走りは悪くないが、どこかコントロールがふわついており、「打たれないから続けられている」というより「ヤクルトが打てていないから持っている」という印象のほうが強かった。

相手のヤクルト打線が今季これだけ元気がないのは誰の目にも明らかで、正直、今日の宏斗の出来では別のチームが相手なら何点か取られていたかもしれない。それでも白星をもぎ取ったのだから結果論として文句は言えないが、次戦以降に向けた課題は残った。

フォームの細かいズレなのか、それとも疲労の蓄積なのか。本人と首脳陣がどう見ているか気になるところだ。「勝って反省あり」―― これが今日の宏斗への評価である。

■ 池山監督「バントしない」徹底は支持する ―― だが投手でも、は疑問だ

池山監督が掲げる「バントに頼らない攻撃野球」の方針は基本的に正しいと思っている。送りバントで一死を献上するより、強攻策でビッグイニングを狙うほうが、長いシーズンを考えれば得点期待値は高い。近年のデータ野球の常識でもある。

しかし、今日の試合では投手の打席でも同じ方針が貫かれているように見えた場面があり、そこだけは「いやそれは違うだろう」と思わずぼやいた。

打者として出てくる野手と、普段ほぼ打撃練習をしていない投手とでは話がまったく異なる。打撃が本業でない選手に強攻を求めれば、凡退のリスクは格段に上がる。「投手は自動アウト」という前提で一死を確実に取りに行くほうが、むしろチームとして合理的な場面もある。方針の一貫性は大事だが、それが杓子定規になっては本末転倒だ。

柔軟性こそが知将の証だと、池山監督には伝えたいところである。

■ 8回・杉浦の投球 ―― 今日の試合で唯一、手を叩いた場面

今日の試合を振り返ったとき、最も鮮明に記憶に残るのは8回のマウンドに上がった杉浦の投球だ。

「落ち着いている」という言葉しか出てこなかった。あの回の杉浦は、打者をしっかり見て、自分のテンポで投げていた。力任せにねじ伏せようとするのではなく、変化球を効果的に混ぜながら打者の芯を外していく組み立ては、若い投手のそれとは思えないほどの余裕があった。

今季の中継ぎ陣には不安定な場面も多く、ビハインドでもリードでも「また来るか」と身構えることが続いていた。そんな中での杉浦の好投は、チームにとっても、こちらとしても安心感を与えてくれる一球だった。

今後も8回前後を任せられる存在に育ってほしい。杉浦には期待している。

■ 川越の離脱 ―― これは痛い、本当に痛い

試合後に伝わってきた川越の怪我の情報は、勝利の余韻を一瞬で吹き飛ばすには十分だった。

川越が今のドラゴンズにとってどれほど貴重な存在かは、ファンなら分かるはずだ。左打ちの代打というのは、どのチームもなかなか層を厚くできないポジションであり、ヤクルト相手の右投手が続く試合展開では特に存在感が増す。ここぞという場面で一本出せる左の代打は、ベンチの選択肢を大きく広げてくれる存在だった。

怪我の程度によってはシーズンへの影響も大きい。代わりを務められる人材がすぐに見当たらないだけに、川越には焦らずしっかり治してほしいと思う。チームとしても、この穴をどう埋めるか早急に考えなければならない局面だ。

■ 総評 ―― 勝ったことは事実、だが浮かれている場合ではない

今日のドラゴンズは「勝ちに不思議の勝ちあり」を地で行く試合だった。内容の良くない宏斗が白星を拾い、バント論争を呼ぶ采配があり、そして川越の離脱という暗いニュースが届いた。

それでも、杉浦が8回に見せた投球はドラゴンズの未来に確かな光を宿していた。あの落ち着きをこれからも持ち続けてほしい。

勝ち点3は積み上がった。しかし竜ファンの業は深く、こんな試合でも頭の中は次の課題でいっぱいになってしまうのだ。

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